
秋の味覚図鑑|9〜11月の日本で必ず食べたい旬の食材11選
9〜11月の日本で味わいたい秋の味覚をミシュラン公式パートナーのOMAKASE編集部が紹介。松茸やぎんなん、シャインマスカットなどの野菜・果物から、さんま・平目・秋鮭まで、旬の食材をまとめました。
暦の上では、8月の「立秋」を迎えると山から涼風が吹き下ろし、秋の訪れを告げるとされてきました。現代では蒸し暑い夏が9月まで続くことも珍しくありませんが、季節の恵みは今も変わらず巡ってきます。この記事では、9月から11月にかけての日本で味わいたい旬の野菜・果物と海鮮を紹介します。
日本の秋が旬の野菜・果物:かぼちゃ・シャインマスカット・梨など
お月見の季節が近づくころ、田んぼでは稲が実り、各地の農家は収穫の時期を迎えます。秋は、冬を越すための保存食が仕込まれ、翌年まで楽しむ食材が出揃う季節。日本酒の仕込みも晩秋から初冬にかけて始まり、雨に潤った森では希少な天然きのこが顔を出します。霜が降りる前に大地が実りを出し尽くすこの時期こそ一年で最も食が豊かになる、と多くの日本人が口を揃えます。「食欲の秋」という言葉があるのはそのためです。
かぼちゃ
日本で「パンプキン味」のお菓子やラテを注文すると、ナツメグやシナモンを効かせた西洋風の味ではなく、土の香り豊かな日本かぼちゃが主役になっていることがほとんどです。緑色で凹凸のある皮は、煮たり蒸したりすればそのまま食べられます。ほくほくとした果肉はピューレやパイよりも、根菜として煮物や揚げ物に向いています。ポルトガルから伝わり、保存性の高さから栽培が広がった歴史を持ち、コロッケや天ぷら、山梨県の郷土料理「ほうとう」に欠かせない存在となりました。多くの日本人には懐かしい家庭の味であり、海外からの旅行者には「日本のパンプキン」として新鮮な体験になるはずです。

柿
同じ「カキ」と読む牡蠣とは別物で、縄文・弥生時代から日本人が食べてきた伝統の果物です。古代はまず渋柿が利用され、長い品種改良を経て、今日のような甘くほのかに花の香りを感じる果実になりました。干し柿は冬に作られますが、生の柿が最もおいしいのは秋。熟した柿はリンゴのような歯ざわりを残しつつ、甘みははっきりと濃厚で、果肉に褐色の模様が入ったものは特に珍重されます。熟しすぎるとゼリーやカスタードのようにとろける食感に変わり、強い甘みを楽しめます。

ぎんなん
「生きた化石」とも呼ばれる長寿の木・イチョウは、9〜11月に実をつけます。生のぎんなんは強い臭気(チーズや発酵臭に例えられます)があり、素手で触れると肌への刺激もありますが、加熱して殻をむけば、ほろ苦さとほのかな甘みが同居する滋味と、もちっと弾力のある食感が魅力です。愛知県が日本最大の産地。焼き鳥店や居酒屋では串焼きで提供され、家庭では炊き込みご飯や茶碗蒸しの底に沈む一粒として親しまれています。

松茸
レストランや店頭に並ぶ松茸の多くは長野県産です。人工栽培が難しく、今も自生する松林での採集に頼っているため、高値がつくことで知られます。味そのものは控えめですが、唯一無二の豊かな香りはまさに「秋の王」。冬の蟹やトリュフのシーズンを前に、秋の高級和食店では松茸尽くしの特別コースが登場し、土瓶蒸しや天ぷらなどさまざまな調理法で楽しめます。

れんこん
アジアでは何世紀にもわたり食材や薬用として利用されてきました。日本を代表する産地ブランドのひとつが、石川県の「加賀れんこん」です。でんぷん質を含みながらシャキッとした歯切れがあり、噛み切ると細い粘りの糸を引くのが特徴。生でも加熱してもおいしく、居酒屋では多彩な料理に姿を変えます。天ぷらや煮物はもちろん、穴に和からしを詰めた熊本の郷土料理「からしれんこん」も有名です。

さつまいも
西洋のスイートポテトやヤムイモとは異なり、日本の品種はきめ細かな肉質で、菓子やおやつ作りに向いています。角切りを飴がけにした「大学芋」、石やつぼでじっくり焼き上げて甘みを引き出す「焼き芋」、さらに芋焼酎の原料と、用途は実に多彩。有名な品種には沖縄の紫芋や石川県の五郎島金時があります。食感は大きく3タイプに分かれ、蜜のような「ねっとり系」、クリーミーな「しっとり系」、じゃがいものように軽い「ほくほく系」と、好みに合わせて選べます。

梨
海外では「アジアンペア」と呼ばれ、洋梨とリンゴを合わせたような見た目の果物です。リンゴと同じく果肉にわずかな粒状感があり、熟しすぎると粉っぽくなりますが、状態の良いものはシャキッとした歯ざわりと豊富な水分、清々しい風味が楽しめます。海外では韓国料理の冷麺にスライスして添えられることが多い一方、日本料理、特に懐石ではデザートや口直しとして供されるのが定番。搾った果汁は焼酎カクテルのシロップにもよく合います。

ぶどう・シャインマスカット
近年、日本のぶどう栽培は大きく発展しています。人気の筆頭は、丸く張りのある緑色の大粒品種「シャインマスカット」。名前から連想される強いマスカット香よりも、西洋の食用ぶどうに近いすっきりした風味が特徴です。紫や赤系のぶどうと詰め合わせて販売されることも多く、なかでも巨峰の改良種である長野県の「ナガノパープル」の人気が高まっています。日本のワイン産業の成熟に伴い、長野・山梨・北海道産のぶどうは醸造用にも使われるようになり、見学型のワイナリー体験や、新宿の「葡庵」のようなワインバーも全国に増えています。知名度の低い在来品種には、独特のマスカット香と厚い皮を持つものもあり、皮をむいて食べるのが一般的です。

日本の秋が旬の海鮮:さんま、平目、秋鮭
さんま
漢字で「秋刀魚」と書き、その名に刀剣の姿を宿す、初秋を代表する魚です。8月下旬から9月にかけて店のメニューに登場し、最も一般的な食べ方は一尾丸ごとの炭火焼き。焦げ目の香ばしさと、じゅわっとあふれる脂を堪能できます。青魚らしい脂の旨みがありながら、鯖のような強いクセは感じられません。鮮度の良いものは刺身で提供されることもあり、肉厚のイワシにも似た濃厚な味わいが楽しめます。

平目
ヒラメをはじめとする日本近海のカレイ・ヒラメ類は、10月ごろから旬を迎え、産卵期が近づく2月前後まで続きます。締めたては引き締まった弾力のある食感が魅力ですが、1〜2日寝かせると旨み成分のグルタミン酸が増し、甘みと深い旨みが際立つため、熟成寿司のネタとしても最適です。ひれの付け根から取れる「えんがわ」も平目由来のネタで、日本家屋の縁側に似ていることからその名がつきました。一尾から取れる量はわずかですが、バターのような濃厚な風味と心地よい食感で、気軽な寿司店でも人気を集めています。

秋鮭
9月から11月にかけて、産卵のため生まれた川へ戻ってくる鮭を「秋鮭」と呼びます。多くの魚が冬の海に備えて脂を蓄えるこの季節、秋鮭は遡上に大きなエネルギーを使うため、身は引き締まり、あっさりとしながらも深く長い旨みを湛えています。日本で供される秋鮭は国内の川で獲れた天然ものが中心。塩焼きなどに使われるほかの鮭は脂がのってジューシーな味わいのものが多いため、軽やかで淡泊な魚を好む人にこそ、秋鮭の味と質の良さが響くはずです。

